夫婦で充実した老後生活を送るためには、できるだけ早く貯金を始めることが大切です。
でも「1,000万円くらい貯金しておこう」と漠然とした貯金計画だとモチベーションが維持できません。
本当に1,000万円あれば足りるのか?多すぎるのか?がわからないと不安ですよね。
老後貯金は、ただ闇雲に貯金するのではなく、きちんと夫婦の「老後資金の必要額」を計算する必要があります。
でも、老後資金の必要額はわかりにくいですよね。
共働き、専業主婦など、夫婦の働き方によっても必要額は変わってくるので複雑です。
必要額を考えるポイントは「老後の生活費」「年金」「退職金」から老後に必要になるお金を考えることです。
これで、かなり老後貯金がわかりやすくなるでしょう。
さらに夫婦の老後資金を効率よく続けるコツとして、「固定費を見直す」「自動積立システムを整える」についてもご説明していきます。
夫婦の老後貯金は4ステップで考える
老後貯金の必要性はわかっていても、「一体いくら老後資金として貯金すれば安心なの?」と不安になってしまいますよね。
マイホームやマイカー貯金などに比べて、老後貯金は高額すぎてイメージが湧かないものです。
そこでおすすめしたいのが、夫婦の老後貯金はいくら必要なのか4ステップで考えることです。
- ステップ1:老後の生活費を考える
- ステップ2:年金を考える
- ステップ3:退職金を考える
- ステップ4:老後貯金の必要額を設定する
このようにして、老後の収入と支出を考え、赤字になるのか黒字になるのか考えます。
赤字になる場合は、いくら赤字になるのか考えましょう。
その金額を老後を25年間として計算すれば、大まかな夫婦の老後に必要な金額がわかります。
ノートとペンを準備して、あなたも一緒に計算してみてください。
ステップ1:老後の生活費を考える
老後資金の必要額を考えるためには、老後の収支を考える必要があります。まずは、老後の生活費を考えましょう。
「老後の生活費なんて想像できない…」という方もいるでしょう。
30代~40代の夫婦にとって、老後の生活はなかなかイメージしにくいかもしれませんね。
そこで、公的なデータから平均的な高齢者の生活費を調べて、その金額を参考にしたいと思います。
総務省統計局の「総世帯及び単身世帯の家計収支(2018年)」のデータから、平均的な高齢夫婦(夫65歳以上、妻60歳以上で構成する夫婦一組の無職世帯)の1ヵ月の支出額を知ることができます。
非消費支出29,092円 | ||
---|---|---|
消費支出235,615円 | ||
内訳 | 割合 | 金額 |
食費 | 27.7% | 65,265円 |
住居費 | 5.8% | 13,665円 |
高熱・水道 | 8.4% | 19,791円 |
家事・家具用品 | 4.0% | 9,424円 |
被覆及び履物 | 2.6% | 6,125円 |
保険医療 | 6.4% | 15,079円 |
交通・通信 | 11.9% | 28,038円 |
教育娯楽 | 10.3% | 24,268円 |
その他 | 22.8% | 53,720円 |
不足分41,872円 |
(参考:総務省統計局)
消費支出とは、生活を維持するために行う支出。
非消費支出とは、直接税や社会保険料など、消費を目的としない支出です。
現在の平均的な高齢者夫婦は、毎月約26万円の支出ということがわかります。
まず、これを老後支出の目安にしましょう。
ただし、上記の金額は「ゆとりある生活費」は含まれていません。
最低限の生活費に加えて、旅行や趣味、子供や孫への援助にする費用など、ゆとりある生活費も準備しておきたいところです。
「ミニマムで節約的な老後生活を送るから最低限の生活費だけで大丈夫」という人もいるでしょう。
しかし、どんなに節約生活を徹底しても、家の補修が必要になったり、家電の買い換え費用などは必要になるでしょう。
生命保険文化センターが実施した「夫婦が老後の生活費はいくらくらい必要と考える?(令和元年)」という調査によると、ゆとりある老後生活を送るための費用として、以下のような結果が出ています。
ゆとりのある老後生活費 | 割合 |
---|---|
20万円未満 | 2.8% |
20~25万円未満 | 7.3% |
25~30万円未満 | 10.6% |
30~35万円未満 | 20.8% |
35~40万円未満 | 9.5% |
40~45万円未満 | 10.8% |
45~50万円未満 | 2.9% |
50万円以上 | 15.6% |
わからない | 19.6% |
平均36.1万円 |
(参考:生命保険文化センター)
ゆとりのある老後生活として最も多い回答が「30万円~35万円」で20.8%でした。
総務省統計局の平均的な高齢者の生活費は約26万円でしたが、「25万円~30万円」と回答した人は10.6%しかいませんでした。
この調査によると、ゆとりのある老後生活費の目安は約36万円ということがわかります。
老後の生活費として、最低26万円、理想は36万円が平均的な目安としましょう。
ステップ2:年金を考える
次に老後の収入である年金について見ていきます。
夫婦の老後資金を考える上で、この年金が重要になりますので、よく考えてくださいね。
65歳以降になると年金を受け取ることができますが、大きく2つのタイプに分かれています。国民年金と厚生年金です。
国民年金は、自営業や専業主婦が加入している年金。厚生年金は、会社員や公務員が加入している年金になります。
この2つの年金は受取金額が大きく異なるのです。
厚生労働省の「平成30年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、年金の平均受給額は、国民保険の平均は55,708円、厚生年金の平均は143,761円です。
(参考:厚生労働省)
あなたが年金を受け取る時には、今の年金から減額されている可能性もありますが、目安として国民保険は約55,000円、厚生年金は約143,000円として考えておきましょう。
厚生年金は国民年金の3倍近くの金額になるのです。
「夫婦ともに会社員」「会社員の夫と専業主婦」「自営業の夫婦」では、以下のように大きな年金の差が生じます。
1ヵ月の年金 | 1年の年金 | 25年間の年金 | |
夫婦ともに会社員 | 28.6万円 | 343.2万円 | 8,580万円 |
会社員の夫と専業主婦 | 19.8万円 | 237.6万円 | 5,940万円 |
夫婦ともに自営業 | 11万円 | 132万円 | 3,300万円 |
夫婦ともに会社員の場合は、老後25年間で8,000万円以上の年金が見込めるのです。
一方自営業の夫婦は3,000万円ほどになるでしょう。
ただし、自営業の場合は会社員のように定年退職はありません。年金収入は期待できませんが、長く働いて収入を維持していくことができるでしょう。
年金は、誕生月に届いている「ねんきん定期便」を見ると、将来受け取れる見込み年金額をチェックすることができます。
年に1度、しっかり確認してくださいね。
ステップ3:退職金を考える
老後の収入として考慮すべきは年金だけではありません。
退職金というまとまった収入があるのです。
厚生労働省の「平成30年就労条件総合調査 結果の概況」によると、退職給付(一時金・年金)制度がある企業割合は80.5%となっています。
(参考:厚生労働省)
退職金は会社の規模、退職金規定などによって異なりますが、「退職するときの基本給×勤続年数ごとの係数×退職事由別の支給率」で計算されるのが一般的です。
同調査によると、20年以上勤めた45歳以上の退職者のうち定年を迎えた人がもらった退職金(一時金・年金)の平均は以下のようになっています。
高卒(現業職) | 1,159万円 |
高卒(管理・事務・技術職) | 1,618万円 |
大卒(管理・事務・技術職) | 1,983万円 |
(参考:厚生労働省)
このように、同じ管理職でも高卒と大卒では365万円も違います。
ただし、この金額は平均的なものです。
あなたの退職金がいくらになるのか確認しておくと、老後資金への不安が軽減されるでしょう。
退職金は社内規定などを見て調べることも可能ですが、実際に金額はわかりにくいです。
あなたの会社の退職者に、実際にもらった退職金を聞くもの、ちょっと難しいですよね。
退職金を知るためには、ストレートに人事や総務に聞いておくと良いでしょう。
老後貯金の必要額を設定する
ここまで、「老後の生活費」「年金」「退職金」を考えてきました。
この3つがわかれば、老後貯金の必要額を設定することができるでしょう。
ざっくりとした平均金額は以下のようになります。
- 老後の生活費は「1ヵ月最低26万円、理想は36万円」
- 年金は「国民年金は1ヵ月55,000円、厚生年金は1ヵ月143,000円」
- 退職金は「高卒は1,100万円~1,600万円、大卒は1,900万円」
(年金+退職金)-(老後の生活費)=「老後貯金の必要額」ということになります。
夫婦ともに会社員、会社員の夫と専業主婦、夫婦ともに自営業、それぞれの(年金+退職金)-(老後の生活費)を計算してみましょう。
老後の生活費は最低~理想の間をとって1ヵ月31万円として計算します。25年間では31万円×12ヵ月×25年=9,300万円です。
老後の年金は、先ほどの計算から、夫婦ともに会社員は8,580万円、会社員の夫と専業主婦は5,940万円、夫婦ともに自営業は3,300万円です。
退職金は平均値1,500万円として考えます。
年金 (老後25年間) |
退職金 | 老後生活費 (老後25年間) |
(年金+退職金) -(老後生活費) |
|
夫婦ともに会社員 | 8,580万円 | 3,000万円 | 9,300万円 | +2,280万円 |
会社員の夫と専業主婦 | 5,940万円 | 1,500万円 | 9,300万円 | -1,860万円 |
夫婦ともに自営業 | 3,300万円 | 1,500万円 | 9,300万円 | -4,500万円 |
このように、夫婦の老後資金と一口に言っても、夫婦ともに会社員であれば、二人分の厚生年金と退職金があるので、普通の老後の生活を送るなら約2,000万円近くプラスになる可能性があるのです。
会社員の夫と専業主婦の場合は、老後貯金の必要額は「1,860万円」ということになります。
老後には2,000万円の貯金が必要になるということが話題になりましたが、専業主婦世帯の場合は、それに近い金額になりますね。
夫婦ともに自営業の場合は、老後貯金の必要額は「4500万円」です。65歳をすぎても現役を続ける必要があるでしょう。
夫婦の老後貯金を効率よく続けるコツ
老後の貯金の必要額ついて考えてきました。
夫婦ともに会社員の場合は、厚生年金と退職金がダブルでもらえるため、老後貯金の心配は少ないことがわかりました。
ただし、上記はややゆとりある老後の生活費で設定しています。夫婦で共働きを頑張ったから老後は旅行や趣味にお金をかけたいという場合は、もっと貯金が必要になってくるでしょう。
専業主婦世帯の老後貯金の必要額は1,860万円です。仮に40歳から25年間で貯金するためには、1ヵ月の貯金目安は1,860万円÷12ヵ月÷25年=約6万円となります。
このように老後貯金の必要額がわかったら、コツコツ貯金していきましょう。
夫婦の老後貯金のポイントは「効率よく続ける」ことです。
老後貯金は大きな金額になります。だから短期集中で貯金することは難しいでしょう。コツコツ長期的に貯金する必要があるのです。
長期的に貯金を続けるためには、効率よく貯金していくことがポイントになります。
そのためにおすすめしたいのが「固定費見直し」と「自動積立定期預金」です。
固定費見直し
老後貯金のためであっても、毎日の買い物で節約するのは大変なものですよね。
「妻は食費をコツコツ削っているのに、夫は外食ばかりで節約が徹底されない」など、夫婦で変動費を節約するのは難しく、効率的ではありません。
夫婦喧嘩も増えてしまうかもしれないですね。
そこでおすすめしたいのが、固定費の見直しです。
毎月食費を1万円削るのは大変ですが、固定費なら意外と簡単に1万円削れる場合があります。
しかも、夫婦の固定費を見直せば、節約効果は2倍。固定費見直しは、無理なく夫婦老後貯金をするコツなのです。
若いころの保険料がそのままになっていませんか?
いまいち理解していない保険に加入していませんか?
最近は同じレベルの保障内容でも格安のネット保険があります。
「ネット保険 保険」で検索すると、安いネット保険情報がたくさん出てきます。
また、今の保険会社のままでも、不要な医療保険などをカットすることで、夫婦合わせて1年9万円近く節約できる場合もあります。
ケガや病気の時に備える医療保険ですが、手術や入院の際には「高額医療費制度」という制度があるので、1ヵ月の医療費は何十万円もかかる心配はありません。
毎月高い保険料を払い続けるのは、もしかしたら意味がない場合もあるのです。
保険に入らないことで節約する方法は、こちらの記事で詳しく解説していますので、ぜひご参考ください。
将来の万が一のリスクに備えて払い続けている保険料。死亡保険や医療保険の保険料は安くありません。必須の出費と思われがちな保険料ですが、実は必ずしもそうではありません。貯金を貯めるために保険に入らないという選択も有りなのです。
夫婦でそれぞれどんな料金プランになっているか把握していないと、無駄なプランのままになっている恐れがあります。
月額料金の内訳がわからない方は、携帯電話会社のホームページからログインして、料金プランをチェックしてみてください。
LINE電話やWi-Fiがあるのに、通話料、通信料がそのままになっている場合、無駄に月額料金を払い続けていることになります。
このような不要な通話料、通信料、さらに使っていないオプションなどをカットすることで、夫婦で1ヵ月6,000円、1年72,000円近く節約できる場合があります。
習い事は辞め時が難しいため、無駄に払い続けるケースが多いです。
辞めてしまうと、また始めたくなった時に入会金がかかるから…と思うと、簡単に辞められないかもしれませんね。
辞めても毎日の生活に支障がない習い事がないか、一度見直してみてください。
夫のスポーツジム、妻の料理教室を辞めたとしましょう。それぞれ7,000円ほどが相場になりますので、1ヵ月14,000円、1年168,000円もの節約が期待できます。
固定費として見落としがちなのがサブスク費用です。
エンタメ系のサブスクは、一つ一つは安いものが多いので、あまり使っていなくても「安いからいいか」「そのうち使うかもしれないからいいか」と放置しがち。
その不要なサブスクを見直すことで、意外と大きな節約効果が期待できます。
例えばゲームアプリ500円、動画サービス1,000円、音楽サービス500円、電子書籍サービス500円を解約したとしましょう。
夫婦で同じように解約すれば、1ヵ月5,000円、1年60,000円の節約が見込めるでしょう。
このように、夫婦の固定費を見直すと、上記の例の場合は、1ヵ月32,500円、1年で39万円の節約効果が期待できます。
その分を老後貯金に回すことができれば、効率よく貯金することができますね。
1年ではそれほど大きな金額ではありませんが、20年考えると780万円にもなります。
前の章で、会社員の夫と専業主婦の老後貯金の必要額は「1,860万円」とご説明しました。
固定費見直しだけで、この必要額の3分の1以上の資金を作ることが見込めますね。
しかし、この固定費見直し方法には、一つデメリットがあります。それは、見直し作業が大変ということです。
保険や携帯電話のプランを変えるためには、まず今のプランを確認して、他のプランと比較する必要があります。
サブスクの解約は比較的簡単にできますが、習い事を辞める場合は手続きが面倒になるでしょう。
でも、固定費見直しは一度安くすると、その節約効果はずっと続きます。逆にそのままにしていると、いつまでも無駄な出費を続けることになってしまうのです。
面倒な作業ではありますが、一度夫婦で固定費と向き合い、しっかり見直しをしてみてください。
自動積立定期預金を利用する
老後資金を効率よく貯金するためには、まず固定費の見直しがおすすめです。
さらに、貯金しやすいシステムを作れば、もっとスムーズに貯金できるようになります。
毎月貯金しようと思っても「今月は臨時出費があったから老後貯金する余裕がない」ということが続くと、いつまでも貯金は増えません。
そこで、おすすめしたいのが銀行の自動積立定期預金を利用して、老後資金を先取り貯金していくことです。
あらかじめ毎月貯金する金額、期間を決めておくと、毎月同じ額が給料振込口座から貯金用口座へ積み立てられていくのです。
貯金が苦手な人、いつも貯金を切り崩してしまう人は、自動積立定期預金で強制的に貯金するのがおすすめです。
前の章で、会社員の夫と専業主婦の老後貯金の必要額は「1,860万円」とご説明しました。
例えば35歳~65歳の30年間で、この方法で積立貯金をする場合は、1ヵ月約5万円の貯金で必要額が貯まる計算になります。
先ほど、固定費見直しで1ヵ月約3万円の節約効果が見込めることがわかりました。
あと2万円なら、外食費やレジャー費で節約することは十分可能です。
毎月5万円を「もともとないもの」として先取り貯金していけば、いつの間にか必要額を貯めることができるでしょう。
夫婦の老後資金の必要額を考えて、老後貯金をスタートさせましょう
今回は夫婦の老後資金の必要額について考えてきました。
夫婦の老後貯金はいくら必要なのでしょうか。
「老後の生活費」「年金」「退職金」を考え、(年金+退職金)-(老後の生活費)でいくら赤字になるか計算してみてください。
マイナスになった金額が老後の貯金必要額ということになります。
一口で夫婦の老後資金と言っても、会社員か自営業か、共働きか専業主婦かによって、金額が大きく変わります。
夫婦ともに会社員の場合は、厚生年金も退職金もダブルでもらえるので、老後貯金がなくてもあまり心配ないでしょう。
しかしそれ以外の夫婦はコツコツ貯金する必要があります。
まずは、あなたの場合の夫婦の老後資金を考えること、そしてできるだけ早く老後貯金をスタートさせることが大切です。
固定費を見直して貯金回すお金を確保すること、さらに自動積立定期預金で貯金しやすい仕組み作りをすることがおすすめです。
効率良く節約生活を進めるためには、銀行口座を3つにすることが大切です。家計費用口座、特別出費用口座、貯蓄用口座に分けることで、いつのまにか貯金が増えていくかもしれません。それでは口座開設はどこがいいか?当節約ブログおすすめはイオン銀行です。
88点/100点中
※労力対効果・費用対効果を考慮した当節約貯金ブログのおすすめ度
私の場合(夫婦・子供2人)だと、夫婦の老後資金必要額を知る節約方法で
39万円/1年間 貯金力を秘めています。
※表現や再現性には個人差があり必ずしも利益や効果を保証したものではありません。
(計算値:保険料見直しで1年▲90,000円、スマホ代見直しで1年▲72,000円、習い事の見直しで1年▲168,000円、サブスク見直しで1年▲60,000円)
老後資金を増やすためには、まず必要額を知ることです。必要額がわかると、自動的に節約すべき金額も見えてきます。上記のような支出見直しをすることで、ぐんと貯金力がアップする可能性があります。