ほとんどの方が、老後のために貯金しようという意識がありますよね。
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査(令和元年)二人以上世帯」によると、金融資産の保有目的(3つまで回答可)として「老後の生活資金」と回答したのは、30代41.7%、40代48.9%、60代71.4%、60代79.2%となっています。
(参考:知るぽると)
年代が上がるにつれて老後資金への意識が高くなっていることがわかります。
でも、老後に必要なのは1,000万円とも2,000万円とも言われており、貯金があっても「老後資金として全然足りないかも…」と不安ばかりが募りますよね。
今回は、「老後資金が足りない問題」を考えていきたいと思います。
具体的に「老後資金が足りないとどうなるのか?」を知り、「老後資金が足りないならどうすればいいのか?」を考えていきたいと思います。
老後資金が足りない方が、効率よく貯金していく方法を考えていきましょう。
老後の生活資金は最低1,200万円、理想は5,400万円
「老後資金が足りない問題」を考えるために、まず、老後に必要な資金について考えていきます。
少し貯金があるから大丈夫と思っていても、実際には十分な老後資金ではないケースが多いのです。
それは、老後資金を低く見積もってしまう傾向にあるからなのです。
老後資金は「1,000万円必要」「2,000万円必要」など、トータル金額で考えますよね。
「1,000万円」は多くの方にとって大金です。だから1,000万円あれば、何となく老後資金は十分な感じがします。
でも、1,000万円あっても、老後を25年と考えると、1ヵ月に使えるのは約3万円です。年金以外に月3万円だけの資金では、ちょっと心もとないですよね。
トータル金額ではなく、老後1ヵ月に必要になる資金から計算すると、夫婦の老後貯金は最低1,200万円、理想は5,400万円にもなるのです。
詳しく解説していきましょう。
最低限の生活を送るなら1,200万円必要
総務省統計局の「総世帯及び単身世帯の家計収支」によると、平均的な高齢夫婦(夫65歳以上、妻60歳以上で構成する夫婦一組の無職世帯)の1ヵ月の年金等の収入平均は222,834円、支出は264,707円です。
平均的な単身世帯(60歳以上の無職世帯)の1ヵ月の年金等の収入平均は123,325円、支出は161,995円です。
年金等の収入に対して、生活費などの支出のほうが多い状況ですね。
夫婦世帯では41,873円、単身世帯では38,670円不足になります。
毎月約4万円は貯金を切り崩して生活している状況なのです。
毎月4万円ずつ老後資金として必要ということになります。
老後25年だと考えると、1世帯あたり4万円×12ヵ月×25年=1,200万円が老後資金として必要ということですね。
(参考:総務省統計局)
ゆとりのある生活を送るなら5,400万円必要
上記の支出データは最低限の生活費です。旅行や趣味や友人との付き合いなどの費用は含まれていません。
ゆとりある生活を送るためには、さらに生活費が必要になるのです。
生命保険文化センターの「老後の生活費はいくらくらい必要と考える?」という調査によると、ゆとりある老後生活を送るための費用として最低日常生活費以外に必要と考える金額は、平均14万円となっています。
公正、中立な立場で生活設計と生命保険に関する情報を提供している財団法人の情報なので、信憑性は高いでしょう。
ゆとりある生活の具体的な内容としては、「旅行やレジャー」「趣味や教養」「日常生活費の充実」「身内とのつきあい」「耐久消費財の買い替え」「子どもや孫への資金援助」の順番となっていました。
(参考:生命保険文化センター)
最低限の生活費として4万円、さらにゆとりのある生活費として14万円になるので、毎月18万円ずつ必要になるのです。
老後25年だと考えると、1世帯あたり18万円×12ヵ月×25年=5,400万円が老後資金として必要ということになります。
1,000万円の貯金があっても、全然足りないことがわかりますね。
あなたも、ゆとりある老後生活を送るための費用を考えてみてください。
先ほどのゆとりある生活の具体的な内容を参考にしてみると考えやすいでしょう。
- 旅行やレジャー:10,000円
- 趣味や教養:15,000円
- 日常生活費の充実:30,000円
- 身内とのつきあい:5,000円
- 耐久消費財の買い替え:20,000円
- 子どもや孫への資金援助:20,000円
例えば、1ヵ月の平均予算として、これくらいの予算を組んだだけでも、10万円になります。
最低限の生活費4万円+10万円で計算すると、必要な老後資金は4,200万円です。
あなたもシミュレーションしてみてください。必要額の高さに驚くはずです。
貯金しない人の老後生活は不安が多い
老後の生活費は、最低レベルであっても年金では足りないこと、さらにゆとりのある生活を送るためにはさらに多額の資金が必要なことがわかりました。
それでは、このような「老後資金が足りない問題」を抱えた状態のまま貯金しない人の老後生活はどうなってしまうのでしょうか。
ゆとりのある生活が送れなくなる
前の章でもご説明したように、老後資金が足りないと、ゆとりのある生活が送れなくなります。
具体的に以下のような事が挙げられます。
老後に時間ができたら、趣味に没頭しようと思っている人は多いでしょう。
お金のかからない趣味なら良いですが、映画や演劇鑑賞、ゴルフや着物など、趣味にお金がかかる場合は、諦めることになるでしょう。
老後の旅行を楽しみに現役時代を頑張っている人は多いでしょう。
仕事の休みを気にせずに自由に旅行に行けるのは老後の醍醐味と言えますよね。
しかし、少し貯金がある程度では旅行に行く余裕はありません。
温泉旅行に行くことも難しいかもしれませんね。
年金に頼った生活の場合、食費はかなり切り詰めなければなりません。
だから、外食に行く余裕はないでしょう。
夫婦でゆっくり外食を楽しもうと思っている人は多いと思いますが、なかなか難しい状況です。
外食をしたりホームパーティーをしたり、友人との付き合いにはお金がかかります。
プレゼント代などがかかる場合もあるでしょう。
だから老後資金が足りないと、友人との付き合いも制限されるでしょう。
友人との交流がないと、孤独してしまう恐れもあります。
老後は家のメンテナンスが必要になる時期でもあります。
内装や外装のリフォームは不要でも、老後を快適に過ごすためにキッチン、トイレ、お風呂など水まわりのリフォームは必要になる場合が多いです。
貯金が足りないと、リフォームする余裕はありません。住みにくい状態のまま、我慢して生活することになるでしょう。
テレビ、エアコンなど高額な家電が古くなっても、買い替えるのは難しくなるでしょう。
現役時代は、高額な家電の買い替え費用は、ボーナスで賄っているかもしれませんね。
でも、老後はボーナス払いは期待できません。
家電が劣化したり故障しても、そのまま使い続けることになるでしょう。
このように、老後に楽しみにしている事、現役時代には当たり前にできていた事が、老後資金が足りないと一気にできなくなってしまうのです。
健康的な生活が送れなくなる
ゆとりのある生活が送れなくても、何とか節約しながら生活することはできます。
しかし、老後資金が足りないと、健康的な生活を維持することさえ難しくなる場合もあるのです。
「体が丈夫だから医療費はかからないだろう」と思っているかもしれません。
しかし、ほとんどの人は老後は医療費が上がっていくのです。
厚生労働省の「平成26年国民医療費の概要」によると、1年あたりの平均医療費は45歳~64歳が278,300円、65~69歳で724,400円、70歳以上で816,800円、75歳以上で907,300円となっています。
自己負担割合は、この医療費に対して1~3割になるので、実際にかかる費用はもっと低くなりますが、年齢とともに医療費がどんどん増えていくことがわかるでしょう。
(参考:厚生労働省)
老後資金が足りないと、このような医療費を払うのも厳しい状況になる可能性があります。健康的な生活を維持できなくなる恐れがあるのです。
老後に介護が必要になることも考えておく必要があります。
生命保険文化センターの調査によると、介護に要した費用は、公的介護保険サービスの自己負担費用を含めて1ヵ月あたり平均78,000円となっています。
介護度が上がった場合には、さらに介護費用がかかるでしょう。1ヵ月あたり20万円以上になることもあります。
(参考:生命保険文化センター)
老後資金が足りないと、介護が必要になった場合は施設に入居したり、訪問介護を受けるのも厳しい状況になるでしょう。
このように、医療費は介護費がかけられないことは致命的です。親戚や子供に迷惑を掛けることになるかもしれません。
子供や孫にお金を使えなくなる
さらに、老後資金が足りないと予想される大きな問題があります。
それは、子供や孫にお金を使えなくなることです。
晩婚化が進む中、老後になってから子供が結婚するケースも多くなるでしょう。
現役時代なら結婚資金を援助することができますが、老後資金が足りないと、子供の結婚資金を捻出するのはかなり厳しくなるでしょう。
結婚相手に対して気が引けてしまうかもしれません。
孫の成長を楽しむことは老後の醍醐味です。
しかし、孫にはお金がかかります。お祝い、お年玉、入学祝など、頻繁にお金が必要になるのです。
一緒に食事に行ったり、旅行に行くこともあるでしょう。
老後資金が足りないと、このような楽しみも実現できません。
このように、老後になった途端、子供や孫にお金を使えなくなるのは非常に辛いものです。
もちろんお金がなくても子供や孫と交流することはできますが、やはりお金をかけてあげたいのが親心ですよね。
老後資金が足りない人の解決策
老後資金が足りないと「ゆとりのある生活が送れなくなる」「健康的な生活が送れなくなる」「子供や孫にお金を使えなくなる」という絶望的な老後が待っていることがおわかりいただけたと思います。
それでは、このような「老後資金が足りない問題」はどうすれば解消できるのでしょうか。
ここからは、老後資金が足りない人に向けた解決策を解説してきたいと思います。
できるだけ長く働く
老後資金が足りない場合は、定年後も働くことを考えましょう。
内閣府がまとめた「令和2年度 高齢化の状況及び高齢社会対策の実施状況」によると、 収入のある仕事をしている65歳~69歳の男性は60.1%、女性は38.0%となっています。
(参考:内閣府)
男性は約6割、女性は約4割の方が、70歳になるまで何らかの仕事をしているのです。
定年後の職業として人気が高いのが、「タクシー運転手」「警備」「コールセンター」「清掃」「家事代行」「飲食店」などがあります。
最近は65歳以上のシニア世代対象の求人が増えているので、自分に合った仕事を見つけられるでしょう。
例えば、夫が65~69歳まで5年間、警備の仕事をしたとしましょう。
警備の仕事は日給1万円前後が一般的です。月に10日働いたとすると、5年間では、1万円×10日×12ヵ月×5年間=600万円の収入が見込めます。
さらに、妻は65~69歳まで5年間、コールセンターで働いたとしましょう。
時給900円ほどが相場になります。1日6時間で月に10日働いたとすると、5年間では、900円×6時間×10日×12ヵ月×5年間=324万円の収入が見込めます。
夫婦で924万円の収入を得ることができれば、かなりその後の生活が楽になるでしょう。
90歳まで20年間で924万円使えるとすると、1ヵ月37,500円ずつ使える計算になります。
ただし、健康な体がなければ定年後に仕事をするのは難しいです。
無理に仕事を続けて体を壊してしまうと、かえって医療費がかかることになるでしょう。
できるだけ長く働くためには、今から、適度な運動とバランスの良い食事を摂って、健康に気を付けることがとても大事ですね。
節約して老後生活を送る
老後資金が足りないなら、老後に節約を徹底するという選択肢もあります。
最低限の生活を送るためには、毎月4万円ずつ貯金を切り崩す必要があるとご説明しました。
年金だけで生活する方法を考えれば、何とか生活することはできるでしょう。
まず、食事は必ず自炊をして、外食はゼロにしましょう。外食は夫婦で3,000円にはなります。
今、週に1回ペースで外食をしている場合は、1ヶ月12,000円節約することが見込めます。
さらに、夫婦で車2台を所有している場合は、1台に減らすことで節約効果が見込めます。
コスモ石油のシミュレーションによると、軽自動車1台にかかる年間維持費は434,990円んとなっています。1ヵ月あたり約36,000円の維持費がかかることになります。
(参考:コスモMyカーリース)
これはあくまでも目安ではありますが、車を所有しないことが大きな節約に繋がることは間違いありません。
スマホの見直しも必要になります。3大キャリアから格安スマホにすれば、夫婦で1ヵ月6,000円以上の節約効果が期待できます。
このように、様々な節約をすることで、年金の範囲内でやりくりできる予算を組んでいきましょう。
しかし、若い頃の節約生活と高齢になってからの節約生活は同じではありません。
高齢になってからの節約生活のほうが苦労することになるでしょう。
例えば、若い頃は疲れていて外食したくても、節約のために自炊を頑張ることができます。高齢になると、どうしても疲れて自炊が辛くなる時がやってくるでしょう。
体が不自由になってくると、お金に頼らなければならないことが多くなることは覚えておいてください。
今から貯金する
老後資金がないなら「老後も働く」「老後に節約する」という選択肢がありますが、やはり高齢になってから必死に働いたり節約生活を送るのは大変でしょう。
最終的な選択肢として考えておくことは良いですが、やはり「今から貯金する」ということが最善の策です。
「老後に働けばいい」「老後に節約すればいい」と先送りにするのではなく、しっかり節約して、今、貯金することが大切です。
膨大な老後資金を貯めるのは大変なことではありますが、時間をかけて貯金すれば負担を軽減することができます。
仮に足りない分の老後資金として、65歳までに1,000万円貯金することを目標にしたとしましょう。
60歳になってから貯金するなら、毎年200万円ずつ貯金しなければなりません。
しかし、40歳から貯金すれば、毎年40万円ずつ貯金すれば65歳になった時には1,000万円貯金できる計算になります。
年に2回のボーナスごとに8万円ずつ、毎月2万円ずつ貯金すれば年間40万円貯金することができます。これくらいならできそうな感じがしませんか?
節約ポイントは、固定費の見直しと先取り貯金です。
老後資金のための貯金を始めるためには、平行して節約していく必要があります。
そのためにおすすめしたいのが固定費の見直しです。
毎月当たり前のようにかかっているスマホ代、エンタメ料金、保険料、クレジットカードの年会費、子供や夫婦の習い事など、節約できる余地はないか洗い出してみましょう。
スマホ代は無駄なプランを省くことで、夫婦で1ヵ月4,000円近く安くできる場合があります。
医療保険は必ず必要なものではありません。思い切って医療費をカットすることで、夫婦で年間約9万円節約できる場合があります。
有料動画サービス月額1,000円、ゲームアプリ月額300円、クレジットカード年会費10,000円、習い事月額7,000円など、なくても良いものはどんどん削っていきましょう。
不要なものを削り、毎月の固定費を一気にスリム化してください。
例えばこの場合、年間247,600円貯金に回せる計算になります。10年なら250万円もの貯金力が期待できるのです。
固定費は一度見直して安くできると、その節約効果がずっと続くのでおすすめです。
ただし、固定費節約だけで満足してはいけません。
固定費を見直せば、変動費は自由に使って良いわけではありません。
外食、飲み会、コンビニ利用、バーゲンでの衝動買いなど、無駄遣いを減らす意識も持ってくださいね。
老後資金を効率よくするためには、先取り貯金をしていきましょう。
生活費が残ったら老後資金にあてるのではなく、まず先に老後資金を確保しておくのです。
老後資金を貯金するための専用口座を準備するのがポイントです。
給料が振り込まれたら、その老後資金専用口座にお金を移動しましょう。
しかし、自分で先取り貯金するためには、強い意志が必要です。
「今月はちょっと厳しいから老後貯金はパスしようかな」となってしまうからです。
そこでおすすめなのが、銀行の自動積立定期預金を利用する方法です。
毎月積み立てる金額を決めておくと、自動的に普通預金から定期預金に貯金が積み立てられるシステムになっています。
何万円も貯金するのは難しいなら、月2万円でも良いでしょう。
10年続ければ240万円の老後資金がいつの間にか貯まっています。
最近は、インターネットやアプリから簡単に口座開設ができるので、ぜひ銀行のホームページをチェックしてみてください。
老後資金が足りないなら今すぐ貯金を始めましょう
今回は「老後資金が足りない問題」について考えてきました。
老後資金は、思っているよりもたくさん必要です。
最低でも夫婦で1,200万円、ゆとりのある生活を希望するなら5,400万円になるでしょう。
だから、少し貯金があっても、このまま貯金しない人の老後はかなり厳しいものになります。
ゆとりのある生活が送れないのはもちろん、医療費や子供や孫に使うお金も足りなくなるかもしれません。
老後に節約したり仕事することもできますが、とにかく今、節約して貯金することが一番大事です。
まずは、固定費を見直してみてください。ぐんと家計が楽になるはずです。
その分を老後資金として先取り貯金していけば、徐々に老後資金を増やしていくことができるでしょう。
効率良く節約生活を進めるためには、銀行口座を3つにすることが大切です。家計費用口座、特別出費用口座、貯蓄用口座に分けることで、いつのまにか貯金が増えていくかもしれません。それでは口座開設はどこがいいか?当節約ブログおすすめはイオン銀行です。
90点/100点中
※労力対効果・費用対効果を考慮した当節約貯金ブログのおすすめ度
私の場合(夫婦・子供2人)だと、貯金が足りない人の節約方法で
247,600円/1年間 貯金力を秘めています。
※表現や再現性には個人差があり必ずしも利益や効果を保証したものではありません。
(計算値:夫婦のスマホ代見直しで1年▲48,000円、夫婦の保険料見直しで1年▲90,000円、有料動画サービス解約で1年▲12,000円、ゲームアプリ確約で1年▲3,600円、クレジットカード解約で1年▲10,000円、習い事を辞める事で1年▲84,000円)
老後貯金への意識が高まると、節約意識も高まるでしょう。上記のように、少し固定費を見直しただけで、年間25万円貯金に回すことができるのです。