「早期リタイアして、仕事に縛られることなくストレスのない生活を送りたい」
「セミリタイアして本当に好きなことだけに時間を費やしたい」
「アーリーリタイアに憧れるけど、貯金がどれくらいあれば十分なのかわからない」
などどと思っていませんか?
少し前までは、同じ会社で定年まで働くことが一般的でした。しかし、最近は様々な価値観を持つ人が増え、40代~50代で退職するアーリーリタイア(早期リタイア)やセミリタイアが注目されています。
仕事のストレスから解放されて自由な毎日を送れるなんて夢のような話ですが、早期退職するためには貯金が必要になります。
退職後に悠々自適に暮らすための貯金がなければ、今の仕事を辞めることはできないでしょう。
今回は、独身の人が早期リタイア(アーリーリタイア)、セミリタイアするための貯金について考えていきたいと思います。
どれくらいの貯金があれば早期退職が可能なのでしょうか。
アーリーリータイヤ(早期リタイア)、セミリタイヤとは?
最近耳にするようになった「アーリーリアイア」「セミリタイア」という言葉。
どちらも早期退職して自由に生きるイメージがあると思いますが、いまいち細かいことがわからないかもしれません。
まず、アーリーリアイアとセミリタイアについてご説明しましょう。
アーリーリタイア(早期リタイア)とは?
ほとんどの会社員は、60~65歳で定年を迎えて退職します。
その会社が定める年齢まで働き、定年後は完全にリタイアして、悠々自適な生活を送ることになります。
アーリーリタイアは、その定年よりも早く退職することです。
40代~50代でアーリーリタイアする人が多いですが、30代でアーリーリタイアする人も少しずつ増えてきています。
一般的に働き盛りとされる時期に会社を辞めて、仕事をせずに生きていくのです。
アーリーリタイアを目指す人が増えている背景には、昔と比べて、仕事や働き方に対する考え方が多様化していることがあります。
毎日ストレスを抱えながら働き続けるのは残りの人生の時間を無駄にしていると考え、限られた時間を自由に楽しく生きていくために、仕事を辞めようと考える人が増えているのです。
ただし、この夢のようなアーリーリタイヤをするための絶対条件は、仕事をしなくても生活できるだけの貯金があることです。
夢のアーリーリタイアを現実のものにするためには、計画的に貯金していかなければなりません。
セミリタイアとは?
アーリーリアイアと混合されやすいのがセミリタイアです。
アーリーリタイアと同じように、セミリタイアも定年を待たずに早期に退職することです。
しかし、アーリーリタイアのように完全に働かないわけではなく、アルバイトなどの何らかの仕事もしていくのです。
フルタイムで働き自由な時間がなかったライフスタイルから、アルバイトで働き自由な時間を増やして人生を楽しむというライフスタイルに変えるのです。
セミリタイヤの場合も、アルバイト程度の収入でも生活が成り立つように、貯金を貯めておくことが絶対条件になります。
完全にリタイヤするのは金銭的に難しいという人は、セミリタイアという道を選ぶことも多いです。
アーリーリタイアとセミリタイアのメリット、デメリット
アーリーリタイアもセミリタイアも大きな決断です。
長年努めてきた会社を辞めることに不安を感じる人が多いでしょう。
その不安をなくすために、本当に早期退職はあなたにとって良いことなのか見極めなくてはいけません。
アーリーリタイアとセミリタイアのメリット、デメリットをまとめてみたいと思います。
メリット
早期に退職することは、以下のようにたくさんのメリットがあります。
定年退職するよりも、退職金が多くなるメリットがあります。
早期に退職すると、早期優遇退職制度により、退職金を多くもらえることが一般的です。希望退職と言われることもあります。
厚生労働省の「平成30年就労条件総合調査」によると、退職者1人平均退職給付額は、勤続20年以上かつ45歳以上の大学・大学院卒の退職者の場合、定年退職の平均額は1,983万円となっています。
一方、早期退職者の平均額は2,326万円となっているのです。
税金が引かれるため、純粋に受け取る金額がもっと少なくなりますが、退職金としては343万円も差があるのです。
(参考:厚生労働省)
早期リタイアを目指すなら、あなたの会社の早期優遇退職制度について確認しておきましょう。
人生の時間は限られています。
仕事をすれば収入を得ることはできますが、時間に縛られた毎日を送らなければいけません。
早期リタイアすれば、時間の縛りが一気になくなります。
自分が本当にやりたいことだけに時間を使うことができるのです。
限りある人生の貴重な時間を無駄なく使うことができるでしょう。
ほとんどの人が仕事にストレスを感じているでしょう。
仕事のストレスがあるとイライラしたり、気持ちが沈んでしまうなど、精神的なダメージがあるでしょう。
それにより、食欲がなくなったり、逆に食べ過ぎてしまうこともあります。疲れがとれにくくなったり、不眠に悩む人も多いでしょう。
ストレスは精神的にも健康的にも良くないことばかりです。
早期リタイアをすれば、ストレスフリーな毎日を送ることができます。
仕事ストレスが大きい人ほど、大きな解放感を得ることができるでしょう。
会社努めをしながら好きな事をすることもできますが、仕事を辞めれば、もっと思い切り好きな事に打ち込めるでしょう。
とことん好きなことができるのが、早期リタイアの大きなメリットです。
旅行、語学勉強、創作活動、ボランティア活動、地域文化活動など、可能性が広がります。
仕事では得られなかった充実感を得ることができるでしょう。
会社員をしていると、会社や業界にどっぷり浸かってしまいがち。
仕事が全てという人生も素晴らしいですが、どうしても視野が狭くなってしまうでしょう。
早期リタイアすると、会社以外の人との交流が広がったり、様々な体験をすることができるので、視野が広がります。
人生がより豊かなものになるでしょう。
60歳や65歳で退職しても、旅行やボランティア活動など、様々なことができるでしょう。
しかし、体力的に難しいこともあります。
定年退職して、いざ自由な時間ができても、体力的に好きなことができないのは悔しいでしょう。
若いうちに早期リタイアすれば、海外旅行をしたり、田舎に移住したり、スポーツに打ち込むなど、体力を気にせずリタイア生活を送ることができるのです。
デメリット
メリットが多い早期リタイアですが、デメリットにも目を向けなければいけません。
以下のようなデメリットを把握した上で、アーリーリアイア、セミリタイアを目指しましょう。
たくさんのメリットがある早期リタイアですが「収入がなくなる」という最大のデメリットがあります。
収入はゼロになり、貯金がどんどん減っていきます。
早期リタイアを実現する人の多くは、毎月コツコツ貯金していたでしょう。
貯金額が増えることにやりがいや喜びを感じていたと思います。
早期リタイア後は、まったく逆の状況になってしまうため、精神的にダメージを受ける人も多いでしょう。
仕事を辞めると年金を納めなくなるため、老後に支給される年金は少なくなります。
年金をあてにしたリタイア生活は難しいでしょう。
自由な時間を求めて早期退職したけれど、いざ時間ができたら暇を持て余す…という人もいるでしょう。
仕事中心の生活だった人ほど、仕事がなくなると生活に張りがなくなってしまう可能性があります。
仕事が忙しいと時間を作ろうとアクティブに動いていた人でも、時間ができた途端、アクティブさがなくなってしまうかもしれません。
徐々に増えつつある早期退職ですが、海外に比べると日本ではまだまだ浸透していません。
一生働くことが美徳と考える年配の人たちはたくさんいます。
だから、アーリーリアイアやセミリタイアしたことを理解されなかったり、批判されてしまい、肩身が狭くなる可能性もあります。
親から反対される場合もあるでしょう。
実際にローンを組みにくくなるなど、社会的信用を失う可能性もあります。
一大決心してアーリーリタイアやセミリタイアをしたものの、やはり資金が足りなくなってしまうこともあります。
そうなったら、また仕事を探すことになります。
その場合、以前のような条件の会社に再就職することは難しく、悪条件の会社で我慢して働くことになるかもしれません。
早期退職は、失敗する可能性もあるというデメリットがあるのです。
「早期退職しなければ良かった…」と後悔しないためには、リタイア後の生活を綿密に計画することが非常に大切なのです。
アーリーリタイア、セミリタイアに必要な貯金は?
時間に縛られたストレス生活を脱して好きな事ができる早期リタイアですが、収入がなくなるという大きなデメリットがあります。
資金不足で失敗する可能性も高いのです。
アーリーリアイア、セミリタイアを成功させるためには、資金不足にならないように貯金をしておくことが非常に大切なのです。
そのためには、必要になる貯金額を考える必要があります。
「リタイア後の貯金なんて膨大過ぎて計算できない」と思うでしょう。
でも一つ一つ考えてみればそれほど複雑ではありません。
- 貯金額を考えるために必要なことは以下の3点です。
- 1年ごとに必要になるお金を考える
- いつリタイアしたら、いくら貯金が必要になるか考える
人生プランを考える
詳しくご説明していきましょう。
1年ごとに必要になるお金を考える
定年退職の場合は年金収入がありますが、早期退職の場合は、年金収入に頼らずに生活費を確保しておかなければなりません。
1年ごとに必要になるお金を考えていきましょう。
総務省統計局のデータによると、単身世帯の2019年1ヵ月あたりの平均生活費は以下のようになっています。
あくまでも参考にはなりますが、目安として見てください。
年齢によってかかる費用が変化することがわかります。
家計内訳 | ~34歳 | 35歳~59歳 | 60歳~ |
食費 | 44,048円 | 44,074円 | 37,210円 |
住居費 | 33,458円 | 25,277円 | 14,309円 |
光熱費 | 7,265円 | 11,743円 | 13,126円 |
家具、家事用品 | 3,682 円 | 5,492円 | 5,781円 |
被服費及び履物費 | 8,217円 | 7,125円 | 4,168円 |
保健医療費 | 4,580 円 | 7,304 円 | 8,922円 |
交通、通信費 | 27,205円 | 29,129円 | 14,819円 |
教養娯楽費 | 0円 | 0円 | 36円 |
教育、教養娯楽費 | 20,096 円 | 20,904円 | 17,213円 |
その他 | 23,774 円 | 37,650 円 | 33,018円 |
消費支出合計 | 172,325円 | 188,698円 | 148,602円 |
(参考:e-STAT)
この消費支出合計を参考に、貯金額をシミュレーションしていきたいと思います。
いつリタイアしたら、いくら貯金が必要になるか考える
総務省のデータの平均的な1ヵ月の生活費を単純に12ヵ月で計算すると、1年の生活費は以下のようになりました。
~34歳 | 35歳~59歳 | 60歳~ | |
1ヵ月の生活費 | 172,325円 | 188,698円 | 148,602円 |
1年の生活費 | 2,067,900円 | 2,264,376円 | 1,783,224円 |
それでは30歳、35歳、40歳、45歳、50歳、55歳で早期リタイアした場合に必要になる生活費を算出してみましょう。
厚生労働省の平成22年簡易生命表によると、男の平均寿命は79.64年、女の平均寿命は86.39年です。男女平均は約83歳となります。
それぞれ早期リタイアした年から83歳までの期間で計算していきます。
(参考:厚生労働省)
リタイアする年齢 | 83歳までの生活費 |
30歳 | 約1億976万円 |
35歳 | 9,940万円 |
40歳 | 8,804万円 |
45歳 | 7,676万円 |
50歳 | 6,544万円 |
55歳 | 4,392万円 |
このように、30歳でリタイアしようと思ったら、1億円以上の貯金が必要になります。
普通の会社員には不可能な金額と言えるでしょう。
しかし、今30歳で50歳のアーリーリタイアを目指すとしたらどうでしょうか。
6,554万円を20年で貯金するためには、年間約327万円ずつ貯金すれば良いことになります。
これならだいぶ現実的になってくるのではないでしょうか。
年金の受取額、早期優遇退職制度の退職金を考慮すると、さらに貯金額は下がります。
また、セミリタイアの場合には、全く収入がゼロになるわけではありません。
アルバイトで月5万円の収入が得られる場合には、1年60万円の収入が見込めます。
例えば40歳でセミリタイアするなら、60万円×20年=1,200万円を貯金額から引いて考えることができます。
人生プランを考える
平均的な生活費から、早期リタイアのために必要になる貯金額をシミュレーションしてみました。
さらに考えるべきは、人生プランです。
早期リタイア後にどんな人生を送りたいのか考えることがとても重要です。
旅行や趣味を楽しんで贅沢な生活を送りたいなら、もっと生活費を高く見積もって貯金額を考える必要があります。
逆にとにかく質素な生活を送るつもりなら、上記も半額の貯金額で十分になるかもしれません。
退職後、どんな生き方をしたいのか、どんなお金の使い方をしたいのか考えることが大切です。
上記でシミュレーションした金額に対して、
- 1年に1度海外旅行をしたいなら、1年あたりプラス50万円
- 趣味のゴルフを続けたいなら、1ヵ月あたりプラス3万円
- 持ち家で住居費がかからないなら、1ヵ月あたりマイナス3万円
- 服はほとんど買わないでミニマム生活を送るなら、1ヵ月あたりマイナス5千円
このように具体的な金額を考えながらあなたに合わせた1年ごとの生活費を考えてください。
その上で、いくら貯金が必要かあなたなりのシミュレーションしてみてください。
余裕を持った貯金額を考えましょう
アーリーリタイアもセミリタイアも、成功させるコツは必要資金を多めに見積もって貯金額を決めることです。
「これくらの貯金なら大丈夫だろう」と安易に早期退職してしまうのは危険です。
すぐに資金が底をついてしまうかもしれません。
アーリーリアイアするためには、膨大な貯金を貯める必要があるため、現役の期間はしっかり働き、しっかり貯金しなければなりません。
早期リタイアという夢に向かって頑張ることができるか、しっかり自分の気持ちと向き合った上で決断してください。
貯金額を決めて先取り貯金をしましょう
早期リタイアに向けて貯金するためには、毎月欠かさず貯金する習慣をつける必要があります。
「残ったら貯金しよう」という意識では、貯金を増やすことはできません。
銀行の自動積立預金なら、自動的に積み立てすることができるので便利です。
1ヵ月の積立金を決めておけば、毎月同じ日に同じ金額が普通預金から定期預金に積み立てられるシステムになっています。
先取り貯金をするメリットは、残ったお金でやりくりする習慣がつくことです。
給料から貯金分を抜いたお金で生活していくので、自然と節約するようになるでしょう。
先程、30歳の人が50歳でアーリーリタイアを目指すとしたら、平均的なデータをもとにすると1年で約327万円貯金すべきであるとご説明しました。
年に2回のボーナスで100万円、毎月約18万円ずつ貯金すれば、アーリーリタイアの夢を叶えられる可能性があります。
まとめ
今回は、独身の人が早期リタイアする場合の貯金額について考えてきました。
30代40代でアーリーリアイアやセミリタイアを実現する人もいますが、そのためには膨大な貯金が必要になります。30代なら1億円以上の資金を覚悟しなければいけません。
しかし、60歳の定年退職より数年早く退職する程度であれば、退職後の貯金を貯めることは難しくありません。
ポイントは、1年の生活費に沿って綿密な貯金額を算出すること、どんなリタイア生活にしたいのかプランを立てること、そして多めに見積もって貯金することです。
夢のアーリーリアイアやセミリタイアに向けて、貯金プランを立てていきましょう。
効率良く節約生活を進めるためには、銀行口座を3つにすることが大切です。家計費用口座、特別出費用口座、貯蓄用口座に分けることで、いつのまにか貯金が増えていくかもしれません。それでは口座開設はどこがいいか?当節約ブログおすすめはイオン銀行です。
60点/100点中
※労力対効果・費用対効果を考慮した当節約貯金ブログのおすすめ度
30歳の人が50歳でアーリーリタイアを目指して貯金することで、
約327万円/1年間 貯金力を秘めています。
※表現や再現性には個人差があり必ずしも利益や効果を保証したものではありません。
(計算値:アーリーリタイアのために貯金することで1年▲327万円)
この貯金力は、アーリーリタイアをする場合の一例です。
アーリーリタイア、セミリタイアはある程度の収入がないと老後資金を作ることが難しいので、おすすめ度は低めです。しかし、本気で早期リタイアを目指したいなら今すぐにでも貯金をはじめましょう。もし早期リタイアしない場合でも、まとまった貯金ができていればその後の生活を充実させることができるでしょう。