足元から暖まる床暖房は寒い冬をとても快適にしてくれます。
冷たい空気は足元に、暖かい空気は天井にたまる性質がありますが、床暖房なら部屋中ムラなく暖めてくれます。
エアコンのように風で空気を暖めるわけではないので、ホコリが舞いにくく空気を汚さないというメリットもあります。
そんな魅力的な床暖房ですが、やはり気になるのが電気代です。
床暖房にしたら冬場の電気代が一気に上がって驚いたということはありませんか?快適に過ごせるのは良いですが、電気代が家計を圧迫するのは困りますよね。
そこで今回は床暖房とエアコンの節約比較をしたいと思います。
床暖房とエアコンでは、エアコンのほうが電気代節約になります。
しかし、床暖房の電気代を節約する方法もあります。
床暖房とエアコンの電気代、床暖房の節約方法についてご紹介していきましょう。
床暖房とエアコンの節約比較
足元が暖かく快適に過ごせると人気の床暖房。何となく電気代が高くなるイメージはありますが、エアコン暖房より本当に電気代が高いのでしょうか。
外気温と室温の差や、使用状況によって電気代は変わってきますが、大体の目安として比較してみたいと思います。
床暖房のほうがエアコンより電気代が高い
10畳用の床暖房とエアコンを比較してみたいと思います。
設定温度は20℃、電気単価は全国平均の27円です。
エアコン(10畳用)
エアコンは1年の消費電力量の目安として期間消費電力量があります。
エアコン10畳用の期間消費電力量は929kWhとなっています。
冷房(5/23~10/4)、暖房(11/8~4/16)の期間として計算されています。
冷房5カ月、暖房5カ月と想定し、1ヶ月の消費電力は929kWh÷10カ月=92.9kWhとします。
1ヶ月の電気代は92.9kWh×27円=2,508円ということになります。
電気式床暖房(10畳用)
床温約30℃、室温20℃、1日8時間使用した場合の1ヶ月の電気代は7,300円となっています。
同じ室温に保つ場合でも、エアコンよりも床暖房の電気代が3倍近くかかります。
どうして床暖房の電気代が高くなるのでしょうか。
その理由は、「暖め方の違い」と「熱の伝わり方の違い」にあります。
床暖房とエアコンは暖め方が違う
床暖房とエアコンは、それぞれ違う方法で部屋を暖めています。
エアコンの暖め方
エアコンは外気の熱を利用して部屋を暖めています。
エアコンは室内機と室外機がパイプで繋がった構造をしています。熱を乗せて運ぶ「冷媒」という物質が、このパイプの中を絶えず循環しています。
この「冷媒」によって外の空気中にある熱が室内に取り入れられて、部屋が暖められるのです。
床暖房の暖め方
床暖房は、電気ヒーターで部屋を暖めています。
床下に設定した発電体に電気を通すことで部屋を暖めているのです。
エアコンは外気の熱を使って部屋を暖めますが、電気ヒーターを使って部屋をあたためる為、電気代が高くなりやすいのです。
さらに、床暖房のほうが広範囲に及ぶことも電気代が高くなる理由の一つです。
床暖房とエアコンは熱の伝わり方が違う
暖房器具は「対流」「伝導」「輻射」という3つの熱の伝わり方によって部屋を暖めています。
エアコンは「対流」、床暖房は「伝導」「輻射」の熱を利用したシステムです。
エアコンと床暖房の熱の伝わり方の仕組みについてご説明したいと思います。
エアコンの熱の伝わり方
エアコンは「対流」の熱を利用しています。
温度差などにより物質が動くことを「対流」と言います。
冷たい空気は下に動きやすく、温かい空気は上に動きやすい性質を持っています。
エアコンは、対流によって冷たい空気と温かい空気をかき混ぜながら部屋を暖かくするのです。
温風で部屋を暖めるので、すぐに室温を上げることができるメリットがあります。
室内の温度が下がっている寒い日でも、エアコンから送り出される温風によりすぐに室内温度が上昇するのです。
一気に温度を上げて、あとはその室温をキープするだけ運転に切り替わりので、床暖房より電気代が低い傾向にあります。
ところがエアコンは天井に設置されているため、温風は天井付近に溜まりやすくなるデメリットがあるのです。
一度室温が上がっても温度ムラができやすくなります。上部は暖かくても足元は寒い状況になってしまうのです。
温風により部屋の中が乾燥しやすいデメリットもあります。
床暖房の熱の伝わり方
床暖房は「伝導熱」と「輻射熱」の相乗効果により部屋を暖めています。
「伝導」は床から直接体に伝わる熱です。
冷たい空気は下に溜まりやすいことから足元は寒くなりがちです。床から直接熱を送ることで、足元をしっかり暖めてくれます。
「輻射」は部屋全体に均一に広がる熱のことです。熱線が壁や天井や家具などの物体に当り、その熱が再び部屋に放出されることで室内の空気が暖められます。
これにより部屋全体が同じように暖められるので、快適に過ごすことができるのです。
床暖房は温風を出すわけではないので、乾燥しにくいメリットがあります。ホコリが舞い上がることも軽減されるので空気を汚さないメリットもあります。
エアコンのようにすぐに室温を上げる能力は低いですが、時間をかけて室内を快適な環境にすることができるのです。
しかし、時間をかけてゆっくり暖めるので、消費電力が増えて電気代が高くなる傾向にあります。
エアコン暖房 | 床暖房 | |
1ヶ月電気代 | 2,508円 | 7,300円 |
暖め方 | 外気の熱を利用 | 電気ヒーターを利用 |
熱の伝わり方 | 対流 | 伝導と輻射 |
メリット | すぐに暖まる | 温度ムラがない、乾燥しにくい |
デメリット | 温度ムラ、乾燥しやすい | すぐに暖まらない |
1ヶ月の電気代を比較すると、エアコンのほうが節約的なのは一目瞭然です。
床暖房の電気代が高い理由は、暖め方と熱の伝わり方の仕組みにあることがわかりました。
しかしながら、床暖房には快適な室内環境を作れるメリットがあることもおわかりいただけたと思います。
床暖房の節約方法
床暖房で快適に過ごしながら、電気代をおさえることはできないのでしょうか。
床暖房の節約方法について考えていきたいと思います。
温水式床暖房を選ぶ
床暖房はシステムの違いにより2つのタイプに分かれています。
温水による温水式と、ヒーターによる電気式です。
温水式床暖房とは、床下にある温水パネルにお湯を循環させることで部屋を暖めるシステムです。
お湯を温めるための熱源は、電気、石油、ガスがあります。
電気式床暖房とは、発電気体に電気を通して部屋を暖かくするシステムです。
温水式床暖房は、導入にあたり配管工事や温水パネルの設置が必要になります。だから初期費用は高くなります。
Panasonicの10畳用の温水式床暖房は684,100円です。
一方、電気式床暖房は発電機を使うわけではないので、設備費は安い傾向にあります。
Panasonicの同じく10畳用の電気式床暖房は395,300円です。
ところが、ランニングコストを比較すると、温水式のほうが安くなるのです。
温水式床暖房(10畳用)
ヒートポンプの場合の1ヶ月の電気代は3,900円となっています。
条件は床温約30℃、1日8時間使用、外気温約7℃、室温20℃です。
電気式床暖房(10畳用)
1ヶ月の電気代は7,300円となっています。
条件は床温約30℃、1日8時間使用、外気温約7℃、室温20℃です。
このように、温水式床暖房は初期費用がかかりますが、毎月の電気代をおさえることができるのです。
電気式床暖房と比べて1ヶ月3,400円もの節約が見込めます。
床温を下げる
床暖房はゆっくりと時間をかけて部屋を暖めるので、エアコンのようにすぐに室温が上がることがありません。
そのため、ついつい床温を上げがちになってしまいます。
設定温度が高いほど電気代は大きく上昇するのです。
逆に設定温度を下げることで、節約できる可能性があります。
すぐにできるので、試してほしい節約法です。
高い節約効果も期待できます。
電気式床暖房の1ヶ月の電気代は、床温が30℃の場合は7,300円、床温が25℃の場合は3,300円になるのです。
1ヶ月で4,000円もの違いが出ることになります。
暖かく過ごす工夫をする
設定温度を下げるのは簡単ですが、室温が下がりいつもより寒いと感じるかもしれません。
そこで、低めの設定温度でも暖かく過ごす工夫が必要になります。
窓の断熱をする
部屋の中が寒くなるのは、部屋の中の熱が外に逃げるからです。
熱は天井や床など様々な部分から逃げていきますが、全体の50%を閉めるのが窓なのです。
窓を断熱することができれば、部屋の中を暖かく保つことができるでしょう。
窓断熱のコツは、割れものなどに使う梱包材であるプチプチです。
正しくは気泡緩衝材と呼ばれています。
このプチプチが窓断熱に効果的です。
プチプチをためているけど使い道がない…なら、ぜひ窓断熱に活用してみましょう。
用意するものは3つ。プチプチ、両面テープ、雑巾です。
まず、窓のサイズに合わせてプチプチを切りましょう。
窓ギリギリの大きさではなく、サッシ部分まで覆うように大きめにカットするのがポイントです。きれいに貼れて、断熱効果もアップします。
次に雑巾で窓をきれいにします。水拭きをしてから乾拭きをしましょう。
きれいになった窓に両面テープを貼ります。窓の端だけでなく中央部分にも両面テープを貼りましょう。
プチプチの膨らんだ面を窓側にして張ります。
これだけで完成です。
窓全面に貼ってしまうと太陽光が入りにくくなり、かえって寒くなるかもしれません。
プチプチを貼るのは下部分だけにすると良いでしょう。
プチプチのストックがないなら、100均でも購入できます。
隙間風を防ぐ
窓から隙間風が入ることで、部屋の温度は下がりやすくなります。
特に古い家の場合は、隙間風によりすぐに室温が下がってしまうのです。
この隙間風の進入を防ぐことができれば、部屋の暖かさをキープすることができます。
隙間風対策にオススメなのは、隙間テープです。ホームセンターで購入することができますが、100均でもOK。
高機能の隙間テープを買うことができます。
窓の周囲にテープを貼ることで隙間風を防ぐことができるでしょう。
スポンジ素材のテープがおすすめ。スポンジが窓の小さな隙間にフィットするので、わずかな隙間風も入らないようにしてくれるのです。
隙間テープには粘着剤がついているので、シールを剥がして、ペタっと張るだけ。
但し、その前にしっかり貼る部分をきれいにすることがポイントです。
埃がついていると、シールが浮きやすくなります。濡れていると、シールが剥がれやすくなります。
きれいに水拭きをしたら、しっかり乾拭きしてからシールを貼りましょう。
体感温度を上げる工夫をする
部屋の温度を上げる工夫と同時に、体感温度を上げる工夫も大切です。
体感温度アップのコツは「首」と「加湿」です。
首には、太い動脈が流れているのですが、皮膚が薄いため、周りの温度影響を受けやすいのです。
首が冷えると冷たい血液が体全体に流れていくため、体感温度が下がります。
反対に首を暖めれば、全身に暖かい血液が流れる仕組みになります。
首をあたためるためにはマフラーを巻くだけでOK。暖かい生地のフェイスタオルを首にぐるりと巻くだけでも体感温度が変わります。
首を暖めるだけで体感温度が4~5度上がるとされています。
もう一つは、加湿です。
部屋が乾燥していると体感温度が下がります。加湿することで体感温度がアップするでしょう。
「加湿器がないから加湿できない…」と思うかもしれませんが、簡単に加湿する方法があります。
水を入れたコップを置いておくだけでも加湿になります。お気に入りのカップや、おしゃれな空き瓶ならインテリアにもなるのでオススメです。
また、濡らしたタオルをぶら下げておく加湿方法もあります。洗濯物を部屋干しするのもOKです。
まとめ
今回は、床暖房とエアコンの節約比較をしてきました。
床暖房のほうがエアコンよりも電気代が高いです。
その理由は暖め方や熱の伝わり方に違いがあるからです。
電気代だけを重視するのであればエアコンを使用したほうが節約できるでしょう。
しかしながら、床暖房にはエアコンにはない快適さがあります。快適に過ごしながら、ランニングコストをおさえていきたいなら、温水式床暖房がおすすめです。
もっとおすすめなのが、床温を低く設定することです。
低めの設定温度でも暖かく過ごせる工夫をすれば、電気代をおさえながら快適に過ごせるでしょう。
電気代を節約するためには電気切り替えがおすすめ。自分に合った電力会社、そして料金サービスを選ぶことで年間の電気代を賢く削減することが見込めます。電力会社を比較するのが面倒なら電気料金比較サイトが便利。当貯金ブログおすすめは、電気チョイスです。
79点/100点中
※労力対効果・費用対効果を考慮した当節約貯金ブログのおすすめ度
私の場合(夫婦・子供2人)だと、この床暖房の節約方法で
7,400円/1カ月 貯金力を秘めています。
※表現や再現性には個人差があり必ずしも利益や効果を保証したものではありません。
(計算値:温水式床暖房にすることで1ヶ月▲3,400円、床暖房の設定温度を下げることで1カ月▲4,000円)
床暖房は電気代が高いですが、エアコン暖房にはない快適さがあります。快適に過ごしながら、しっかり節約していきましょう。初期費用はかかりますが、長い目でみれば温水式床暖房がおすすめです。