電気代を節約しようと努力しているなら、きっと気になるのが待機電力だと思います。家電製品は電源が切れている状態でも、微弱ながら電力を消費しています。
これが待機電力です。わずかな電力ではありますが、年間で考えると意外な電気代になります。なんと全体の電気代の6%が待機電力とされています。1年の電気代が10万円なら、6,000円が待機電力によるものなのです。これは見逃せない金額です。
この待機電力を節約するにはどうすれば良いのでしょうか。実は意外と簡単に無駄な待機電力をカットする節約術があるのです。
それは「コンセントを抜く」「ブレーカーを切る」の2つの方法です。今回は、待機電力の電気代節約法についてご紹介していきたいと思います。
待機電力とは?
そもそも、待機電力とはどんな電力のことなのでしょうか。待機電力は「待機時消費電力」とも呼ばれます。待機する時に消費する電力ということです。電源をオフにしている状態でも、電化製品がコンセントにつながっていれば電力を消費しているのです。待機電力には3つの種類があります。
電源をオフにしていても、時計、モニター表示、メモリなどは動いています。これに使われる電力が待機電力です。
テレビなどのリモコン機能がある家電は、電源をオフにしていても、リモコン操作すればパット電源がオンになります。この指示待ち状態のために使われる電力が待機電力です。電源が切れていても、常にスタンバイ中になっているのです。
プラグをコンセントに接続しているだけで電力を消費していることがあります。これも待機電力の一つです。
このように、電化製品がコンセントにつながっているかぎり、何らかの理由により電力を消費しています。電源をオフにしているからと言って安心できないのです。
待機電力はいわば「見えない電力」です。家電製品を使用するときには、電気を使っている実感がありますが、待機電力はその実感がありません。
だから、気が付かないうちに電気を無駄遣いしているかもしれないのです。
待機電力の電気代を把握する
待機電力は気が付かないうちに発生している電力と言えます。その見えない電力を節約するためには、その電気代をしっかり把握しておく必要があります。
年間消費電力の6%が待機電力
待機電力は、国による省エネ対策の中でも重要課題として扱われています。そこで経済産業省エネルギー庁は、年間の待機電力について調査を行いました。
(参考:経済産業省エネルギー庁)
その結果、1年間に家庭で使われる電力のうち、6%が待機電力ということがわかったのです。総務省の家計調査報告によると、3人家族の1ヶ月の平均電気代は9,070円となっています。1年の電気代は108,840円ということになります。
待機電力はこの6%になるので6,530円です。これはかなりの金額です。節約すべき電気代と言えるでしょう。
待機電力がかかりやすい家電は?
待機電力は全体の電気代の6%であることがわかりました。それでは、どの家電製品にどれくらいの待機電力がかかるのでしょうか。それぞれの家電製品にかかる待機電力が把握できれば、節約すべき優先順位がわかるでしょう。
そのためには待機電力を「見える化」していく必要があります。実際の待機電力を調べるためには、ワットチェッカーという便利なグッズがおすすめです。コンセントに繋ぐだけで、家電の消費電力を簡単に調べることができます。
1.000円ほどで購入することができます。それぞれの家電にどれくらいの待機電力が生じているのか計測してみましょう。
(画像引用:リーベックス 節電 エコチェッカー ET30D)
でも、自分で調べるのは大変…と思うかもしれませんね。そこで、一般的に待機電力が大きな家電をご紹介したいと思います。
経済産業省エネルギー庁は、家庭における家電の保有状況、待機時間、待機電力に関する調査を実施しています。その結果は以下のようになっています。
順位 | 家電種類 | 割合 |
1位 | ガス温水器 | 19% |
2位 | テレビ | 10% |
3位 | エアコン(冷暖房) | 8% |
4位 | 電話機 | 8% |
5位 | BD・HDD/DVDレコーダー | 6% |
6位 | 温水洗浄便器 | 5% |
7位 | パソコン | 4% |
8位 | パソコンネットワーク機器 | 3% |
9位 | インターホンセット | 2% |
その他 | 32% |
(参考:省エネルギー庁)
2位のテレビ、3位のエアコンは納得の結果だと思います。しかし1位のガス温水器は意外に感じるでしょう。お湯を沸かすのはガスですが、温度調整やリモコン画面などの部分には電気が使われていることが理由です。
待機電力の節約方法は「コンセント」と「ブレーカー」
待機電力がどれくらいかかっているのか、どの家電に多くかかっているのかがわかってきました。
次に、その待機電力の具体的な節約方法について考えていきたいと思います。
待機電力を節約するための方法は2つあります。
- コンセントを抜く
- ブレーカーを切る
それぞれの節約方法について詳しくご説明していきましょう。
コンセントを抜くことが待機電力の節約になる
電化製品をコンセントにつないでいるかぎり待機電力がかかります。
この待機電力を遮断したいなら、シンプルにコンセントを抜くことが一番です。
コンセントを抜くときの注意点
ところが、闇雲にコンセントを抜くと、かえって逆効果になるケースもあるのです。
- コンセントを抜くと、起動するときに大きな消費電力がかかってしまう
- コンセントを抜いてしまうとデータが消えてしまうことがある
- コンセントを抜くと本来の役割が果たせなくなる
このような理由により、コンセントを抜くべきではない電化製品もあるのです。上記内容でご紹介した待機電力が高い家電について、コンセントを抜くときの注意点をご説明していきたいと思います。
ガス温水器
ガス温水器は、その名の通り、ガスを使って温水を作る機器なので、電気代はかからないと思われがちです。
しかし、予想以上に待機電力がかかっているので要注意です。温水を作るのはガスですが、温度測定や操作するためには電気が必要となります。いつでもすぐに温水が作れるようにスタンバイ状態になっているため、待機電力がかかるのです。
また、お湯を使わないときでも、リモコン画面には電気が使われています。
お風呂とキッチンに液晶画面がある場合はさらに待機電力がかかります。
ガス温水器のコンセントは抜けません。そこで、主電源を切ることで待機電力をおさえるようにしましょう。
テレビ
待機電力を節約するために、テレビの主電源を切っていたり、コンセントを抜いている方は多いと思います。
これにより待機電力は減るでしょう。
しかし、電源を入れるときの電力が増えてしまうという落とし穴があります。
テレビは起動するときに大きな電力がかかります。番組表の情報をダウンロードしたり、アップデートされることがあるからです。
コンセントを抜いたり差したりすると、逆にテレビ全体としての電気代は上がる可能性があります。
テレビに関しては、コンセントを抜かないことが節約に繋がるでしょう。
エアコン
電気代の高い家電No.1であるエアコン。やはり待機電力も大きくなります。
しかし、エアコンのコンセントを抜くときには、注意が必要です。
コンセントを抜くことでエアコンに負担がかかることがあるからです。
エアコンは冷媒という熱を運搬するガスを使って温度調整をしています。この冷媒は30℃以下になると特定の部分に溜まりやすくなる性質があります。
コンセントが差してある状態では、冷媒が30℃以下にならないようにヒータがセットされているため、スムーズに冷媒が循環することができます。
ところが、コンセントを抜き差しすると、冷媒の循環がスムーズにならず、エアコンを傷めてしまう恐れがあるのです。
エアコンの説明書には、コンセントを差してから8時間~12時間程度置いてから運転するように書いてあります。これはエアコンに負担をかけないためなのです。
待機電力の電気代を減らすためにエアコンが故障したら、節約どころではなくなります。
毎日エアコンを使用する夏と冬はコンセントを抜かないほうが良いと言えます。
しかし、エアコンを使わない時期は別です。
コンセントを抜いて待機電力を防ぎましょう。
エアコンを使う時期になり、はじめに運転するときには、コンセントを差してから8時間~12時間放置するようにしましょう。
電話機
電話機はコンセントを抜いてしまったら、電話機としての役目を果たせません。外出時であっても、コンセントが抜かれていたら留守電を受け取ることができません。長期不在のときでも、コンセントは差しっぱなしにしておく必要があります。
このような理由から、電話機は待機電力4位と上位になってしまうのです。
電話機の待機電力を節約したいなら、固定電話の使用を止めるしかありません。
携帯電話だけで生活が成り立つのであれば、固定電話を解約するという節約法を考えてみましょう。
BD・HDD/DVDレコーダー
テレビ同様に、起動する時に大きな電力がかかります。そのためコンセントを抜かないほうが節約につながると言えます。
また、コンセントを抜くと録画予約などのデータがリセットされてしまう等のトラブルも起きる可能性もあります。故障の原因に繋がる心配もあるので、コンセントの抜き差しはしないようにしましょう。
温水洗浄便器
意外と待機電力が高いのが温水洗浄便器です。
温水洗浄便器の1時間の待機電量は0.007kWhです。全国平均の電気代27円で計算すると、1日の電気代は約4円です。1ヶ月では120円、1年では1,440円の待機電力がかかるのです。
外出時、就寝時はコンセントを抜くことが、待機電力削減に繋がります。
1階、2階にトイレがあるご家庭の場合、2階のトイレのコンセントは常に抜いておくのも良いでしょう。
パソコン、パソコンネットワーク機器
パソコン、パソコンネットワーク機器は、他の電化製品と比較すると待機電力が高い傾向にあります。
しかし、コンセントの抜き差しを頻繁にしていると起動不良の原因になる可能性があるのでおすすめできません。
パソコンのコンセントを抜くと、待機電力は節約できますが、そのかわりに内蔵電池が使われることがあるのです。内蔵電池の電力がなくなってしまうと、時計機能が不具合を起こすなどのトラブルの原因になります。
故障してしまった時の費用を考えると、コンセントは抜かない方が良いと言えます。
インターホンセット
インターホンも電話機同様に常にオンにしておく必要がある家電なので、コンセントを抜いておくことはできないでしょう。
長期不在にするときも、来訪者履歴を知るために電源をオフにすることはできません。セキュリティ面も考慮すると、インターホンのコンセントは抜くべきではないでしょう。
順位 | 家電種類 | コンセント抜くor抜かない |
1位 | ガス温水器 | 主電源を切る |
2位 | テレビ | 抜かない |
3位 | エアコン(冷暖房) | 使わない時期は抜く |
4位 | 電話機 | 抜かない |
5位 | BD・HDD/DVDレコーダー | 抜かない |
6位 | 温水洗浄便器 | 抜く |
7位 | パソコン | 抜かない |
8位 | パソコンネットワーク機器 | 抜かない |
9位 | インターホンセット | 抜かない |
待機電力が高い電化製品の中には、コンセントを抜いたほうが節約になる家電、抜かないほうが節約になる家電があります。
コンセントを抜くことで待機電力を節約したほうがよいのは「エアコン」「温水洗浄便器」です。
ガス温水器の場合は、主電源を切って待機電力を防ぐことができます。
おすすめは節電タップ
待機電力は減らしたいけど、頻繁にコンセントの抜き差しするのは面倒…という人におすすめなグッズが節電タップ。節電タップとはプラグを差す部分にスイッチがついている電源タップです。
そのスイッチを一つでコンセントを抜き差しせずに電源をオン/オフすることができるのです。
1個口のもの、6個口になっているものなど種類豊富なので、用途に応じて選ぶことができます。
コンセントを頻繁に抜き差しすることによる消耗を防ぐこともできるでしょう。
1,000円前後でお手軽に購入することができます。
ブレーカーを切ることが待機電力の節約になる
コンセントを抜くことで待機電力を節約する方法についてご紹介してきました。
次に、ブレーカーを落として待機電力を節約する方法を考えていきましょう。
電気を使いすぎた時に突然「バチン!」と落ちてしまうブレーカー。普段はあまり操作することがありません。
配電盤とは、安全のために全ての電気を管理している部分です。
「アンペアブレーカー」「主幹ブレーカー」「配電ブレーカー」と3ブレーカーがまとまっています。
「アンペアブレーカー」は契約しているアンペア値を越える電力が使われると、電気の供給を止めるブレーカーです。
「主幹ブレーカー」は漏電ブレーカーとも呼ばれ、漏電が起きたときに自動的に電気の供給を止めるブレーカーです。
「配電ブレーカー」は洋室、和室、台所など、部屋ごとの電気を一定以上使うと電気の供給が遮断されるブレーカーです。
- 長期で家を空ける
- 使わない部屋がある
このようなケースの場合にはブレーカーを切ることで、待機電力節約が期待できるでしょう。
ブレーカーを切る時の注意点
スイッチ1つでまとめて電気を遮断できるので、ブレーカーを落とすのは便利な節電方法です。
アンペアブレーカーを切れば、家中の電力を遮断して電気代を節約することができます。
しかし、電気を遮断されると逆に節約できない電化製品もあるので注意しなくてはいけません。
起動時に電気代がかかる電化製品
テレビやDVDプレイヤーなどは電源を入れる時に多くの電力を必要とします。そのため、待機電力を削減するために一度電源を切ってしまうと、かえって起動する時に無駄な電気代がかかってしまうことになります。さらに故障などのトラブルを引き起こす可能性もあります。
長い期間使わない時以外は、むやみにブレーカーを落とさないのが無難です。
エアコン
コンセントを抜く時の注意点でご説明した通り、エアコンは頻繁に電源をオン/オフするとエアコンに負担がかかってしまい故障の原因になってしまいます。
エアコンを使わない季節はブレーカーを落としておくのが◎ですが、毎日使う時期はブレーカーを落とす必要はありません。
セキュリティ電化製品
長期で家を空ける時にこそ必要な家電もあります。セキュリティシステムは留守中の安全を守るためのものなので、電源を切ってしまうと役割を果たせなくなってしまいます。
火災報知器、ホームセキュリティ、インターホンなどは電源をつけたままにしておきましょう。
冷蔵庫
冷蔵庫のブレーカーを落とす場合には、庫内に食料がない状態にする必要があります。
旅行から帰ってきたら、冷蔵庫の食料が腐っていた…ということがないようにしましょう。
オートOFF機能つき電化製品に変える
「コンセントを抜く」「ブレーカーを切る」ことで待機電力の節約ができることをご説明してきました。
最後に待機電力を節約するもう1つの方法をご紹介したいと思います。
それは「オートOFF機能」つきの家電に変えることです。
最近の家電には様々な省エネ対策が搭載されています。待機電力もその1つです。
一定時間使わないと自動的にオフになってくれる「オートOFF機能」。これがついていれば、コンセントを抜いたり、ブレーカーを落とさなくても、機械が自動的に電気代を節約してくれるのです。
コンセントとブレーカーによる節約術と合わせて、オートOFF機能も賢く取り入れていきましょう。
今回は待機電力の節約法について考えてきました。
待機電力は目に見えない電力なので見落としがちです。でも電気代全体の6%も占めているのです。節約する余地のある無駄な電力と言えるでしょう。
「コンセントと抜く」「ブレーカーを切る」という簡単な方法で節約が期待できます。ぜひ実践してみてください。
但し、待機電力を節約することで逆に電気代が上がってしまう電化製品もあることも頭に入れておかなければいけません。
正しく、賢く待機電力を節約していきましょう。
電気代を節約するためには電気切り替えがおすすめ。自分に合った電力会社、そして料金サービスを選ぶことで年間の電気代を賢く削減することが見込めます。電力会社を比較するのが面倒なら電気料金比較サイトが便利。当貯金ブログおすすめは、電気チョイスです。
79点/100点中
※労力対効果・費用対効果を考慮した当節約貯金ブログのおすすめ度
私の場合(夫婦・子供2人)だと、この待機電力節約方法で
7,970円/年間 貯金力を秘めています。
※表現や再現性には個人差があり必ずしも利益や効果を保証したものではありません。
(計算値:全体の待機電力6%を節約することで1年▲6,530円、温水洗浄便器の待機電力を節約することで1年▲14,400円)
無駄な待機電力は非常にもったいない電気代と言えます。それほど大きな節約にはなりませんが、コンセントを抜くだけ、ブレーカーを切るだけでできるのでぜひ実践してみてください。